＜女装コンテスト第４話＞

桜「知世ちゃん、コンテスト楽しみだね！」

知世「そうですわね！さくらちゃん！」

　2人の不安を余所に、桜と知世はとてもコンテストを今か今かと楽しみにしていた。

小狼（さくらと大道寺がコンテストを楽しみにしているけど、俺は出る気なんて、さらさら、無いんだからな！出たら、俺が恥をかくって事を忘れてるだろ！出て負けたら、絶対に、全校生徒の笑い者にされるに決まってる。そして、最終的に俺は自宅で引き籠りになるに違いない！絶対にそうだよ。）

　一方、小狼は遣る前から、悲観的になっていた。勿論、真である。

真（ともよちゃんの事はこれから、大道寺って、呼ぼうか？）

「李はさぁ、本気であんなコンテストに出るわけ？」

小狼「で、出るわけ無いだろ！」

真「だよな！仮病を使って、その日は休もう。」

小狼「それは良い考えだなぁ。うん！」

（いや、待てよ？コイツは今はそう言ってるが、後で、考えが変わるかもしれないな！山崎や柊沢の様な事をするに決まってるよ！簡単に信用して良いはずがない！）

真「何？どうした？」

小狼「考えた結果、俺はお前を信用しない事にした。」

真「いや、別に、構わないけど！俺は本気でその日はフケル事にしたから。」

小狼「ええっ！？な、何だって？」

真「何、マジで驚いてんの？俺は本気だからさ！」

小狼「あっ、言い忘れたけど、お前は主催者だろ？」

真「はい、そうですよ。それが何か？」

小狼（コイツは人事だと思って、いい気なりやがって、正直、腹が立って来たな！）

真「ベストドレッサーコンテストだったら、良かったのに～！」

小狼「ベストドレッサーコンテスト！？それは確かに、面白そうだなぁって、今さら、何を言ってるんだよ？本城！お～い、聞いてるのか？」

真「あ～、男装コンテストも良いなぁ！で、優勝は木之本と三原って事で！大道寺さんも出て欲しいけど、本人は出ないんだろうなぁ！俺としては、出て欲しいな～！（嬉）」

小狼（全く、聞く気が無いな！）

真「うう、何て、ついていないんだろ！はぁ～！」

　真は愚痴ばかりこぼしている。

小狼「はぁ～！もう、いい加減にしてくれ！お前の愚痴なんて、聞きたくない！聞いてるこっちがイライラするよ！だから、止めろって言ってるだろ？向こうのリビングにはさくらと大道寺が居るんだぞ！」

真「ごめん！すっかり忘れた！」

　真は小狼に咎められ、我に帰った。

知世「で、御2人はお着替えは終わりましたの？」

　ドアの向こうから、知世の声が聞こえた。どうやら、彼女は痺れを切らした様である。

小狼（大道寺の奴は俺達の話を聞いていたに違いない！後で、何をされるか、判らないぞ！）

真「はぁ～、大道寺さんは本気だ！やっぱり、出るしかないんだろうか？」

　真は呆れた顔で言った。

小狼「だろうなぁ！せめて、ここに置いてある服を交換しないか？本城！」

真「ああ、別に、良いよ！」

　数分後、2人が桜達の前に現れた。

　知世は2人を観て、困った顔をしながらこう言った。

知世「あのう、これは一体、どういう事ですの？」

小狼「いや、その、これはだなぁ。あれだ！」

知世「えっ、あれとは！？何ですの？李君、どういう事か、ちゃんと、御説明なさいな？」

真「俺が代わり言うよ！大道寺さん！」

知世「真君！貴方は黙ってなさい！」

　真は知世に言われ、落ち込んでいた。

桜「2人共、すっごく似合ってると思うよ！小狼君、着物良いとじゃないかなぁ！可愛いと思うよ。」

小狼「お、/////お前はいきなり、な、/////何を言ってるんだ？べ、/////別に、そんな事を言われても、嬉しくないぞ！さくら！」

　小狼は嫌がっている様であるが、少し嬉しそうである。

知世（今の李君に言っても、無駄そうですわね～！）

「代わりに、真君が御説明なさいな？」

真（さっきは黙っとけって、言ったくせに、何だよ？急に！）

「はい、実は李が何時も、同じ様な物は嫌だと言ってました。」

知世「で、あっさり、交換なさったんですのね！本当に、貴方はおバカさんですわね！正直、私は貴方に呆れましたわよ！」

　知世は真の答えを待たずに、続けて言う。

知世「あれでは、前のさくらちゃんの袴姿と被ってしまいますわ。」

真「！？」

知世「確かに、お似合いですが、私にはちょっと、物足りないですわね！はぁ～、どうしたら良いのでしょう？」

　知世は独り言を言っている。

真「このドレスは似合うって、李は言ってたよ！」

知世「あの、貴方が目立ってどうするんですの？」

真「これさぁ、ともよちゃんが着てるのに、似てる気がするけど、気のせいだよね？」

（邪魔者だって言ってる様に聞こえる。）

　真は知世に疑いの目で観ている。

知世「貴方の気のせいでは？」

真「そうかなぁ？」

知世「そうですわ！貴方はやってしまわれた以上はそれなりの覚悟が必要だという事をお忘れなく！」

真（それなりの覚悟って、何なんだよ？）

　真は知世に言われ、困惑していた。

真「優勝しろって言うのか？李はともかく、俺は無理でしょう？相手の２年C組は確か、強豪揃い（可愛いのや美人）だって聞いたぜ！」

　因みに、可愛いや美人というのはあくまで、男子生徒の事である。

知世「そこまでは存じませんでしたわね？」

真（ホントか？）

知世「確か、四葉学院中等部２年C組といえば、雨寺君のクラスではありませんの？」

小狼「そうなのか？どうして？お前が知ってるんだ？」

　今まで黙っていた小狼が言った。

桜「知世ちゃん、どうして？知ってるの訳を教えて？」

小狼「誰かを脅して聞き出したのか？大道寺？」

真「ふ～ん！そうなんだ！」

知世「偶然、聞こえてしまっただけですわよ！言ってらしたのはもみじちゃんですわ！」

小狼「何ぃ～、立ち聞きしたのか！意地汚いぞ！大道寺！」

　小狼は知世の発言に呆れ顔で言った。

真「ともよちゃんが見損なった！俺は帰るわ！さようなら！」

　真は知世に呆れて、帰って行った。

知世「ああ～、待って下さいな～？真君！」

　知世は真の後を追って行ってしまった。

小狼「全く、大道寺の奴は～！ブツブツ・・・」

桜（知世ちゃんは一体、紅葉ちゃんに何を聞いたの？）

小狼（雨寺本人が怒るんじゃないだろうか？）

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